
今回デスクトップワークスがサポートさせていただいたsoyuzprojectの大阪公演は、Ustreamで生中継されました。またツイッターと連携して「soyuz_bot」フォロアが投稿する声援(tweet)を自動取得、ステージ上でリアルタイムに音声及びテキストに変換して、ライブ演奏に反映しました。
実際にUstream上で配信された映像が下記になります。
※開演前30分間は会場BGM&ツイート声援(画面表示は時計映像)本編は31:30付近からスタート。
soyuz大阪公演、全ての要はインターネット回線が握っていた。事前に取り寄せた情報によると、ADSL回線が引かれているものの、どの程度の数値が出るのか…無線対応しているのか…LANケーブルをステージまで這わせられるのか…など、不確定要素が山積みだった。「もしかしたら、使えないかもしれない」そんな不安から乗り切るべく、用意できる限りのバックアップ回線を手配した。
バックアップ回線1本目、イーモバイル。新幹線など高速移動利用、また地下利用にはめっぽう弱いが、静止した状態で地上で利用する分には持ってこいの安定感。スペック値は3.2megaだ が、体感速度は、それこそADSLレベル。ドコモ等と違って、ストリーミングや動画利用の制限もない。個人的な意見になってしまうが、田口はイ ーモバイル誕生時の広告コンセプトからひっくるめて、思想的に愛している。イーモバイルは、ツイート取得、Webブラウザのバックアップに充てた。
バックアップ回線2本目、FOMAハイスピード。スペック値は7.2mega。新幹線に乗ってようが、地下に潜ろうが、さすがドコモ。どこでもほぼ繋がる。FOMAハイスピードはUstream配信のバック アップに充てた。そして3本目、iphone。1台は初期モデルの3G。2台目が3GS。
以上、デスクトップワークスが手配できる限りのモバイル回線を用意して臨んだわけだが、結果は万事問題なし。ADSL回線もバックアップ回線も 、全てが使える状態だった。
ちなみに、先に会場についた私が、何より先に送ったメールは「福間さん!全キャリア、電波バリ3です!」という、安堵の気持ちに包まれた報告メールだったことは言うまでもない。
Ustreamを用いたライブ中継は一般的に、Webカメラや固定カメラの信号をダイレクトに配信するケースがほとんどだ。しかしsoyuzは、その常識を一歩超えてみようという強い思惑があった。
事前にsoyuz大阪公演特設サイトで予告していた通り、
・会場に設置した生カメラ2台の映像、
・PC上で走るモーショングラフィック映像、
・PC上で動作するWebブラウザ映像や取得したツイートのテキスト映像
上記、4本の映像ソースをステージ上のビデオミキサーでまとめて、まるでPV仕立ての映像を配信しようとしていた。
ぶっちゃけ配信側としては、固定カメラのfix映像を垂れ流しするほうが設備的にもコスト的にも相当ラクである。ってい うかそもそもライブハウスは映像や配信に最適化された会場ではないため、まるでPV仕立てのカメラ&グラフィック映像を取回すのに労する手間 は半端じゃない。でもその手間っていうのは、配信側にとっての都合でしかない。何よりもユーザフレンドリーな立場で思考する福間さんからの 強い要望もあり、今回は、リアルタイムミックスされた映像(イコール会場でプロジェクタ投影される映像)となった。
会場に設置されたプロジェクタに送る映像信号と同等のものを、配信側にも送るためには、どこかで分配しなければならない。しかも映像ソース だけではなく、フロアで鳴っているエア音を混ぜた状態でだ。
やろうとしている事は、CSなどでよく見かけるドームクラスの生中継とさほど差はない。しかし、使っている機材は実にコンパクトだ。
・暗闇赤外線撮影機能付民生ビデオカメラ1台
・フルハイビジョン民生ビデオカメラ1台
・PC2台VGA15pin→スキャンコンバータ
この4本の映像信号をビデオミキサーでまとめる。いわゆるVJ的なはげしいスイッチング用途ではなく、複数の信号をまとめるの と、複数の信号にパラるのが役割。
さて、ビデオミキサー上で分配出力された信号のうち1本は、RCAケーブルで会場のプロジェクターに送られた。プロジェクターは映像信号を受けて、それをスクリーンに投影する装置だ。もちろん、RCAの標準的なビデオ信号を問題なく受けられる。当たり前の話だ。
しかし、配信用PCへの接続は一筋縄ではいかない。ビデオ信号の受けが無いのだ。そこで登場するのが、メディアコンバータ。1999年前後のホームビデオ革命以降、PCでの映像ソースの取扱いをより積極的にさせた「DV規格」に準拠した装置。簡単に説明すると、「黄色いビデオケーブルを、パソコンに挿せるケーブルに変換する装置」。ポイント はIEEE1394。当時、家庭用ビデオをPCに取り込み、編集してはVHSビデオに残していた世紀末のパパ達は、こぞってこの装置を使ったものだ。最近のディスクメディア記録型ビデオカメラに比べると一世代前の規格だが、今回の用途にはピッタリ。およそ9年ぶりに立ち上げたのだが、ノートラブルで順調稼動してくれた。
P.Aから回してもらった音声信号は、メディアコンバータを介さず、配信用PCの音声入力ポートに直挿しした。これはustream配信ソフトウェアがメディアコンバータを音声ボードとして認識しなかったのが原因である。
18:30開場。フロアに時報音が流れ、スクリーンに時計が表示される。
リアルタイムな時報音にシンクするBPM120のBGM(福間さんセクション)と、リアルタイムな時計映像にシンクするグラフィックス(田口セクション)。
ちなみに、この時計、見ての通りWindows Vistaに標準搭載されている「日付と時刻」表示をまんま使用している。そこに別PCから出力したsoyuzロゴのグラフィックスをリアルタイムに混ぜている。
19:00開演。いよいよ幕が上がった!
M1「VISTA」~M2「Time Line」
今回のツアー用に福間さんが制作した新曲。自動取得したツイートが音声変換されて、ボコーダを通して会場中に鳴り響いている。
映像はQRコー ドを表示。スクリーンに投影されたQRコードを、ケータイで拾っている観客も見受けられた。ちなみに、このQRは「soyuz_bot」への誘導を促して いる。
M3「dpi」
モーショングラフィックス映像と会場設置の生カメラ映像をミックス。今回のツアー用にアップデートしたCGは、全てSWiSH max で作成されたFlashアニメーション。Ustream配信でのコマ落ちを考慮して、フレームレートを調整して臨んだのだ けど、実際は想定の倍以上コマ落ちしていたらしく、東京では調整を見直す予定。
ちなみにDPI演奏中に田口がケータイでステージ上から電話をしていた相手は、東京のオフィスで配信状況をモニターしていたスタッフ金子。タイムラグ程度の確認とコマ落ち状況の確認。以後、いちいち電話 連絡してられないので、ビデオミキサー前にスタンド設置したケータイにメールを送るように指示。「映像も音も届いてます。」「映像のコマ落 ちがはげしいです」「音は割れてません」「会場の映像も良く見えます」「っていうか、楽しそうですね」といった定期モニター報告を受けていた。
M4「truefalse」
DPIに引き続き、Flashアニメメインのモーショングラフィックス映像。これも配信コマ落ちを考慮し、テカテカギラギラ度の高い素材
は控えて、ライブ配信を助長させる別素材を重ねている。別素材とは、2007年11月25日、福間さんのライブにデスクトップワークスが初めてサポ ート参加させていただいた時に、当時のスタッフ(ネギ)が記録していた予備カメラの映像ソース。途中、福間さんのEMSソロは、Ustream別アカウントにログインしたiphoneで、ハンディ撮影。一部の方(5viewsと表示されていた)は 、間近でソロ演奏を見れたはず。
M5「bellissima」~M6「neon」
ど頭から登場するシルエット素材、生カメラ映像とミックスする前提だったので、仕込み段階でアンシャープマスクを強めにかけておいた。おか げでベベルが掛かったよな質感になったが、逆に結果オーライ。弊社スタッフ木村の「いいじゃん!」に一言で実用化。
あと、間奏でモーション グラフィックスに混じって表示されるWebブラウザ画面は、Google検索→Wiki→美人時計サイトへと画面遷移。続いて6 曲目「neon」、メタルパーカッションソロパートにおいて、よりダイナミックな質感にアップデートすべく、仕込み段階でCG上の光源と広がりを 大きく調整した。
MC
福間さんのMC(ツイート音声)にあわせて、関連ツイートをスクリーン上に表示。画面右から左にスクロールして流れていくテキストには各ユー ザのアイコンが添付されている。ツイート取得とテキストスクロールには、TweetBubblesという、デスクトップ上でスタンドアローンで動作するAIRガジェット を使用。
ミュージシャン×映像担当の組み合わせは所詮、音楽にあわせて画を出すんでしょ程度の価値で見られがちだ。しかし、soyuz大阪公演特設サイトで「音楽家とWeb制作会社のコラボレーション大実験!」と宣言した通り、その一線を越えた意識とテンションで私達は 取り組ませていただいた。誰もやったことがない事を、一緒に創造するチャンスを与えてくれた福間さん、そして会場や配信でこの試みに参加してくださった多くの方 に心から感謝します。
次は、東京で!
ところで今回の試みは、音楽ライブだけに限った話でなく、他ジャンルにも転用できると考えている。例えば、演劇、お笑い、セミナーなどエンターテイメント表現はもちろん、個人的なオンライン結婚式だってアリって思う。
レポを見れば一目瞭然、今回のセットは実にコンパクトであり、ぶっちゃけトランク一つ、どこでも実現可能なのだ!(ネット回線は要必須)。というわけで、後はアイデア次第。
「私もこんなことやってみたい!」「うちの会社でもやりたい!」「一緒に何かしようぜ!」という方は、ぜひぜひ気軽にお問い合わせしていただきたい。というわけで、デスクトップワークススタッフ一同心よりお待ちしています。
はじめての方でも、安心してご連絡ください。お見積もりも無料でご提案いたします。